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② しまなみ海道のサイクリングロードは、自転車で瀬戸内海を渡れるのがすごい。コースが南海岸の広島県・生口島。北海岸の瀬戸田の耕三寺から東へ古道を入ると、白いガードレールと標識が新しい、小さなサイクリングコースがあった。
コースはあでやかな紅の花の畑に入っていく。桃の花が盛りの季節。そして、アッという間にコースは終わる。えらく短い。これから延長される計画があるのだろうか。
この島で明治初頭、不足している米を酒にするのは不合理で、代わりにぶどう酒を、と考えた男がいた。黒田治六。彼は大日本ブドウ酒製造株式会社 を設立し、島民にぶどう栽培を勧めたが失敗。今に続く竹原のぶどう園はその名残だ。島ではその後、桃を育て、大正時代にミカン栽培に切り替えたという。
小さなコースから、集落の古道は谷へ入る。ミカンやレモン畑の尾根を越え、ため池のある古道では馬が草をはんでいた。池にはアヒル。古道は海 が見えるトップを過ぎ、蔵の土壁や石垣の細い間を下り始める。その時、茂みから一斉に小鳥が飛び立ち、驚きブレーキをかけた。農家の庭隅のすずめのお宿 だ。この島、いいな。
コースを設置した人の気持ちと明治のぶどう酒造りの思いが、重なった。サイクリングロードへの島の人たちの期待が伝わってくる。たくさんのサイクリストの出現で、ちいさなサイクリングロードが島一周になっていくといいな。
（広島県自転車競技連盟前理事長・サイクルフォーラム代表＝広島市）
美術館前の信号から南を見ると、大きな鉄塔があります。この下からｻｲｸﾘﾝｸﾞﾛｰﾄﾞが東へ延びています。
ｽﾀｰﾄ地点です。一般道と平行しています。時々原ﾁｬﾘのおばさんが走ってきたり。でもほとんど誰もいません。
よくできたﾛｰﾄﾞです。走りやすいし、景色も楽しめます。
