〒730-0805 広島県広島市中区十日市町1-4-18-1F 
                                                                   TEL(082)292-0520 FAX(082)292-0521 アクセスマップへ
                                                                   E-Mailアドレス (代表)  doi@cyclesforum.net
                                                                   営業時間 
                                                                   平日・土曜AM10:00~PM8:00 日・祝日 AM10:00~PM7:00 
                                                                   (修理等で急を要す場合は時間をご用意しますので御連絡を!)
                                                                    毎週 水曜日定休(祝日は営業・振替ナシ) 
                                                                   年末・年始/お盆期 3日程度 休業
index≫銀輪旅日記
 

⑦ 漁村の路地は狭く、農村の道は一間の幅。浜で作業する人々と、自宅の庭で作業する人の生活のありかたの違いだ、とは、生涯、歩いて全国の集落を訪ねた宮本常一さんだ。集落の違いが生活の違いを映し出している、って、すごい観察力だ。
 留守を預かる子供の息遣いが隣のおばあさんに聞こえることで、親たちは安心して海に出られるのだ、と常一さん。昔は夫婦が船に乗っていた瀬戸内の集落で、路地の狭さを、おばあさんの温かさと感じたことがあった。
 歩いて、話して理解してきた常一さん。自転車で走ると、人と話すことが少ない。それでも、集落の広がりはパノラマで見ている。道の登り勾こう配が尽きる峠は集落の境界。その区分をはっきり実感でき、一緒のように見えていた景色が違って見えてくる。
 宮本常一さんが、故郷周防大島の道を話している。旧道だけを歩ける小松から久賀までの道などを挙げながら、くぬぎ林から見える海や島々の美しさとその楽しみ方を説く。
 「歩きなさい」って常一さんの声がするようで、自転車でこの道をたどることに、少し躊躇ちゅうちょがあるのだが、楽しい気分を共有してると思い、うれしくもある。
 久賀に入ると、旧道は海岸と山の間にフラットに伸びる。ガードレールもなく、まるで自転車が飛行機になったように思える。道幅もしっかり。怖さもない。開放感が楽しい。海が輝いている。この道は今も健在だ。

(広島県自転車競技連盟前理事長・サイクルフォーラム代表=広島市)
 
 
 
 
   
   
   
  宮本常一さんの道は、尾根直登が多くて、ブッシュにもなってます。
登った高度を落とさない心構えでさがした道です。
 
前回へ≪≫次回へ